黒皮くろかわ)” の例文
さても伊那丸いなまるは、小袖こそでのうえに、黒皮くろかわ胴丸どうまる具足ぐそくをつけ、そまつな籠手こて脛当すねあて、黒の陣笠じんがさをまぶかにかぶって、いま、馬上しずかに、あまたけをくだってくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紺糸こんいと黒皮くろかわのよろい、白地きんらんの陣羽織、かぶとは鹿のつのの前立ち、それを背投げに負い、かしらは、なお癒えぬ戦傷を、まるで白頭巾しろずきんのように、頬へかけて、巻いていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清浄せいじょうすなをしきつめてちりもとめない試合場しあいじょう中央ちゅうおうに、とみれば、黒皮くろかわ陣羽織じんばおりをつけた魁偉かいいな男と、菖蒲しょうぶいろの陣羽織をきた一名の若者とが、西と東のたまりからしずしずとあゆみだしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)