鰹木かつおぎ)” の例文
すぐその御手洗のそばに、三抱みかかえほどなる大榎おおえのきの枝が茂って、檜皮葺ひわだぶきの屋根を、森々しんしんと暗いまで緑に包んだ、棟の鰹木かつおぎを見れば、まがうべくもない女神じょしんである。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鰹木かつおぎの立っている檜皮葺ひわだぶきの一宇が見える。八幡神社の古い拝殿だった。それと背中合せに南面して、かなり広い地域にわたって諸所に陣幕が張りめぐらされている。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
屋の棟に鰹木かつおぎでも載っているよう。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
鬱蒼とした青葉の中に、神社の屋根の鰹木かつおぎが見える。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)