ドゥシャー)” の例文
一切のパンと彼等のドゥシャーに忍耐ののこる余裕のあったものは、誰が琥珀張の室で誰といちゃついていようが、彼等はこせこせしなかった。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ひろい、様々な人生は絶えず彼等のドゥシャーに触れて彼らをして叫ばせる。人生と各々の性格とが仲介物ミディヤムなしに結びついて生きている。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
然し、生きるにつれ、彼を取りかこむ人生の波瀾と悲喜が彼のドゥシャーを呼びさまし、呼びさまし、終に彼をして書かしめた。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ある時代のロシアのドゥシャー、そのドゥシャーは、ロシアばかりにしかなくて、ロシア生活の根で二千百三十五万二千平方キロメートルの上に発生する感情と智慧はそれから翔び去れないところの魂のある姿なのだ。
シナーニ書店のベンチ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)