鬼怒川きぬがわ)” の例文
枕山は鬼怒川きぬがわを渡り土浦つちうらの城下を過ぎて霞浦かすみがうらに出で雨をいて筑波に向った。「筑波山歌」七言古詩一篇が『枕山詩鈔』に載っている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「だからよ、これで良い正月をしようと云うのだ、どうだ、鬼怒川きぬがわ温泉へでもれてってやろうか」
偶人物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人事を離れた天然にいても、前同様の批評を如何いかな読者も容易にうけがわなければまぬ程、作者は鬼怒川きぬがわ沿岸の景色や、空や、春や、秋や、雪や風を綿密に研究している。
利根とね鬼怒川きぬがわとのはげしい浸蝕によって、下流の地盤を低めた結果、この辺一帯のヤチの水がこれに誘われて、その跡を水田とすることができた。五行川・蚕養川はいわば排水きょである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
往年さきのとし鬼怒川きぬがわ水電水源地工事の折、世に喧伝けんでんされた状況ありさまを幾層倍にして、今は大正の聖代に、ここ北海道は北見きたみの一角×××川の上流に水力電気の土木工事場とは表向おもてむき、監獄部屋の通称とおりなが数倍判りいい
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
日記を見るに水海道は筑波山を見渡す鬼怒川きぬがわの岸に臨んだ村で、河を渡り岡田郡横曾根村を過ぎて飯沼にいたるのである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さらに鬼怒川きぬがわの川船に載せられて江戸へ下った。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)