験者げんざ)” の例文
十種に餘る学問技術を身につけていたと云われ、医道、天文、悉曇しったん相人そうにん、管絃、文章、卜筮ぼくぜい、占相、舟師、絵師、験者げんざ、持経者等々の道に練達してい
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
現に今日きょう、和泉式部を訪れたのも、験者げんざとして来たのでは、勿論ない。ただこの好女こうじょの数の多い情人の一人として春宵しゅんしょうのつれづれを慰めるために忍んで来た。
道祖問答 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
又保胤の父の忠行は後の人の嘖々さくさくとして称する陰陽道のだい験者げんざ安倍晴明あべのせいめいの師であったのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
勿体もったいなさ——今になって考えましても、しとみに迷っている、護摩ごまけぶりと、右往左往に泣き惑っている女房たちの袴のあけとが、あの茫然とした験者げんざや術師たちの姿と一しょに、ありありと眼に浮かんで
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)