騎西きさい)” の例文
武蔵の産物としては騎西きさい加須かぞ鯉幟こいのぼりもその一つに挙げるべきでありましょう。五月の節句に勢いよく高くなびくあの幟であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それが、騎西きさい一家に凍らんばかりの恐怖を与え、絶望の底に引き入れた、稚市ちごいちだった。その時、もし全身を現わしたなら、それは悪虫さながらの姿だったであろう。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一方に北埼玉郡騎西きさい町の条には「武家屋敷の集まりし所を根小屋という」とあり
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのなびくところは、たといどのような生物でも圧しすくめられねばならないとすると、現在緩斜の底に騎西きさい一家の悲運と敗惨とは、たしかに、人と植物の立場が転倒しているからであろう。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)