)” の例文
斉名の文は典雅荘重であり、以言の文は奇を出し才をせ、其風体各々異なれど、いずれも文章の海山の竜であり象である。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
紙鳶挙ぐる子供の、風の神弱し、大風吹けよと、謡ふも心憎しなど、窓に倚りて想ひを碧潭へきたん孤舟こしゅうせ、眼に銀鱗の飛躍を夢み、寸時恍惚たり。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
二人は其処の素床すゆか薄縁うすべりを敷いてもらって、汗を拭き、茶をのみ、菓子を食いながら眼をせた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その思想といふものも、いかなるが詩となすによろしかるべきか知るよしなけれど、わが尼寺にありし時、ふと物のなつかしき如き情、遠きにする如き情の胸に溢るゝことあり。
けだわが神州、万国の上游に屹立きつりつし、いにしえより威を海外に耀かがやかす者、上は則ち神功皇后、下は則ち時宗、秀吉数人のみ。吾子ごし年富み才雄、激昂して以て勲名を万国にすることあたわざらんや
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)