駙馬ふば)” の例文
こうして、市井の一放浪児にすぎない高毬は、はしなくも現天子の駙馬ふば(天子の婿むこたる人の官名)王晋卿おうしんけいやかたに仕える身とはなった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊に古川は留学前は大隈おおくま侯の書生であって、義弟西源四郎は伊藤公の知遇を受けて終に公の駙馬ふばとなった浅からぬ縁故があったから
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「さっき王が婚礼をさすといったのは、あなたを駙馬ふばにして結婚させようとしていたようですよ。なぜ黙っていたのです。」
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「そうか」と小一郎はゲラゲラ笑い、「引き立ててやろう、この俺がだ! 女王の駙馬ふばになった時!」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それがしは夏侯楙駙馬ふばの一将にて、裴緒はいしょと申す者であるが、火急の事あって、お使いに参ったり、早々太守に告げ給え」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楊陵も蜀にくだりたい気は大いにあるが、いかんせん城中では打ち明けて共に事をなす部下の勇士も少いので、警固のきびしい夏侯楙駙馬ふば生擒いけどることができないと
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうでしょう。なにしろ夏侯楙かこうもは魏の駙馬ふばですからね。それだけに彼一名を生擒いけどれば、爾余じよの大将を百人二百人からるにもまさります。よい計はないものでしょうか」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この喬は、叔父や父のよい所にも似て、将来を嘱望され、蜀の駙馬ふば都尉に役付やくづきして、時には養父孔明に従って、出征したこともあるらしいが、惜しいかな、二十五で病死した。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)