馬籠峠まごめとうげ)” の例文
暖かい雨はすでに幾たびか馬籠峠まごめとうげの上へもやって来た。どうかすると夜中に大雨が来て、谷々の雪はあらかた溶けて行った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
アヽ是を見ればこそ浮世話も思いの種となって寝られざれ、明日は馬籠峠まごめとうげ越えて中津川なかつがわまで行かんとするに、く休まではかなわじと行燈あんどん吹き消しを静むるに、又してもその美形
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「——何がふしぎかっていえばさ、馬籠峠まごめとうげの滝つぼの上までは、お師匠さんも口をきき、お通さんも口をきき、仲よく三人づれで来たのに、あれからこっち、ちっとも口をきかないじゃないか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「中津川の浅見君にはよろしく言ってくれたまえ。それから、君が馬籠峠まごめとうげを通ったら、あそこの青山半蔵の家へも声をかけて行ってもらいたい。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「木曾で一番の難所、馬籠峠まごめとうげへかかり出したのだ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一行四人は中津川から馬籠峠まごめとうげを越え、木曾きそ街道を江戸へと取り、ひとまず江戸両国の十一屋に落ち着き、あの旅籠屋はたごやを足だまりとして、それから横浜へ出ようとした。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
四日にわたって東山道軍は馬籠峠まごめとうげの上を通り過ぎて行った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)