食扶持くひぶち)” の例文
国家が君たちに食扶持くひぶちを支給する表面の名義だけつければいいのだから、別にそんなに忠義立てして仕事する必要はないと答へた。
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
訊かずに、默つて預つてくれ。長くて二た月短くば半月、食扶持くひぶちは月に三兩、逃がさずに置いてくれたら後でお禮に五兩出す
食扶持くひぶちくらゐは出して居る筈ですが、頻繁ひんぱんにお小遣を借り出すので、叔母さんの懷ろ具合のプラスになる筈はなく、そのくせ人の良い叔母さんは
近頃は義兄の荻野左仲のところにも居憎くなつたと見えて、食扶持くひぶちだけを貰つて、ツイ屋敷外の長屋に、鰥暮やもめぐらしの氣樂さを樂しんで居るのでした。
一寸見は十七八とも見える幼顏をさながほで、舞臺へ白粉をつけて出るのが、何よりの樂しみと言つた、不思議な好みに引摺ひきずられて、ほんの食扶持くひぶちだけで此の小屋にやとはれて居ります。
屑屋くづやの久吉夫婦と、のんべえで喧嘩早い浪人者の檜木ひのき官之助ぢや、娘のしつけが出來ないばかりでなく、娘が年頃になつたら、どんなことをされるかもわからないと、食扶持くひぶちつきで