風塵ふうじん)” の例文
たいへんな数の篠竹は二十や三十の株ではなかった。藪畳やぶだたみを起す風塵ふうじんと同様のき起しは、民さんの顔をまっ黒にさせ、株はまるでどうにも手のつけようのないほど山積されて行った。
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
骨ばかりこの世に取り残されたかと思う人の、まばらなひげ風塵ふうじんに託して、残喘ざんせんに一昔と二昔を、互違たがいちがいに呼吸する口から聞いたのは、少なくとも今が始めてである。の鐘はいんに響いてぼうんと鳴る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
窓外の風塵ふうじん春の行かんとす
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)