たづな)” の例文
二二二 若し人己に發せる忿を制すること奔車を(止むるが)如くなれば、彼を我は御者と言ふ、爾らざる人は(唯だ)たづなを取る(のみ)。
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今来た少年の、無垢むくの自然をそのままのような目附を見て、ふいとたづなが緩んだなと、大石は気が附いたが、既に遅かった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ペルシア、ギリシア、ローマ人も馬を重用し、ギリシア人殊に善く騎り馬上の競技を好みしが、くつわたづなありてあぶみなく、裸馬や布皮せた馬に乗った。
馬上の将軍は馬丁をわずらわすまでもなく、たづなを絞りて容易に乗り静めつつ、一回圏をえがきて、戞々かつかつと歩ませ去りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
弛んでいるたづなを緊めて、お指図をなさるがい。
妓輩の主人生時は貴人とを成すが、一旦命しゅうすれば最卑民中にすらとどまるを許されず、口に藁作りのたづなませ、死んだ時のままの衣服で町中引きずり
己の馴れたたづなが応えぬか。己がお前達を
たづなを切り主に離れこの像に飛び懸りてやまず、あたかもかねてった美麗の牝馬に再会したようで、烈しくむちうつなどの非常手段を施さねば引き分くる事ならずと。