面明つらあか)” の例文
お前の翼は仁木弾正につきだんじやうびんだ。面明つらあかりの蝋燭位らふそくくらゐは、一煽ひかあふりにも消し兼ねない。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
忌隈いみぐまという芝居の古譚などもございまして、一つの面明つらあかりで、ちがった隈取くまどりをした二つの顔を照らす場合には、よほど隈の形や、色を吟味しておかないと、えてして複視を起しやすい遠目の観客には
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その頃、大劇場ではすでに瓦斯ガスの灯を用いていたが、鈍帳芝居にはそんな設備がないので、雨天の甚だ暗い日や日暮れ方の暗いときには、昔風の蝋燭ろうそくを舞台へ差出して、かの“面明つらあかり”をみせていた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)