“青丹(あおに)” の例文
青丹(あおに)の色の服に、柳の色の汗袗(かざみ)で、赤紫の袙(あこめ)などは普通の好みであったが、なんとなく気高(けだか)く感ぜられることは疑いもなかった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
奈良といえばすぐさびた青丹(あおに)の伽藍(がらん)と、鹿の目が連想され、あの平和な旧都だけは、戦乱も飢饉(ききん)もない無風帯のように考えられているが、事実は、なかなかそうでない。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青丹(あおに)よし、奈良の都に遊んだこともなく、聖徳太子を知らず、法然(ほうねん)と親鸞(しんらん)とを知らず、はたまた雪舟も、周文も、兆殿司(ちょうでんす)をも知らなかった十九世紀の英吉利(イギリス)生れの偉人は、僅かに柳川一蝶斎の手品と
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仁和寺(にんなじ)の十四宇(う)の大廈(たいか)と、四十九院の堂塔伽藍(どうとうがらん)が御室(おむろ)から衣笠山(きぬがさやま)の峰や谷へかけて瑤珞(ようらく)や青丹(あおに)の建築美をつらね、時の文化の力は市塵(しじん)を離れてまたひとつの聚楽(じゅらく)をふやしてゆくのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)