霜除しもよ)” の例文
庭木や、泉水の金魚などに綺麗に霜除しもよけのされた、広い平庭ひらにわの芝生に、暖かい日が当って、隠居の居間は、何不足もなく暮している人の住居のように、安静であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
すぐ向うの樹蔭で、植木に霜除しもよけをしていた老人は、いまの話を残らず聞いてしまったのだ。
野分 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そこにたたずんでいたが、だいぶ手間どれるので、何故待たせるのかと疑いながら、広縁へ出て、折ふし冬ざれの寺の庭面にわもに、霜除しもよけをかぶって、ほのかなくれないを見せている寒牡丹かんぼたんなど眺めていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霜除しもよけをかぶった牡丹花ぼたんのように、お千絵様は中にかがまっていた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)