雛子ひよこ)” の例文
曾て何かの時に買った雛子ひよこの玩具があった。いつも本棚の隅に、ふくぶくな姿を見せている。或る日、何心ない遊戯心から、それを彼等の籠の中に入れて見た。
小鳥 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
こっちの姿を目がけて、むこうから素ッ飛んで来る城太郎の影は、ちょうど烏天狗の雛子ひよこというところだ。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伯父は丹精して作った野菜やら、鯉やら、鶏やらを沢山御馳走ごちそうしてくれた。川端で鯉を料理して、そのはらわた雛子ひよこにやると、大騒ぎをしてべた。うろこまでみ込んでしまった。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)