雌雄めお)” の例文
それからこれとやや似た問題で、二つのへびを持ってきて雌雄めおをくべつして見よといったこと、これは印度いんどでできたという『雑宝蔵経ぞうほうぞうきょう』にも出ている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
野尻と須原を隔てている峠道まで来た時に、道の横手の雪の原で雌雄めおの狼が交尾つがうと見えて雪を蹴散らして狂っているのに彼は思わず眼を付けた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
芳紀とし正に二八にはちながら、男女おとこおんな雌雄めおの浪、権兵衛も七蔵も、頼朝も為朝も、立烏帽子たてえぼしというものも、そこらのいわおの名と覚えて、崖に生えぬきの色気なし、なりにもふりにも構わばこそ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そとから舞い込んで来たらしい、雌雄めおの黄蝶がもつれ合いながら、襖へ時々羽を触れては、幽かな音を立てていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぽかぽかと暖い夜の空気……甘く鼻をつ野草の匂……雌雄めおの夜烏の睦言さざめごと……。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)