阪路さかみち)” の例文
その頃月が瀬には、くるまいぬ先曳さきびきがついて、阪路さかみちにかゝるとたすき首環くびわをかけた狗が、汗みどろになつてせつせと俥の先を曳いたものだ。
林を出でて、阪路さかみちを下るほどに、風村雲むらくもを払ひさりて、雨もまたみぬ。湖の上なる霧は、重ねたる布を一重ひとえ、二重とぐ如く、つかに晴れて、西岸なる人家も、また手にとるやうに見ゆ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
吐く羊膓やうちやうたる阪路さかみち進むが如くまた退もどるが如し馬をしばしと止めて元し方を顧みれば淺間の山はすでに下に見られて其身は白雲の上にあり昨日きのふ此山を見て一睨みして置きしが今日は昨日宿りし處を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
君は この阪路さかみちをいつまでものぼりつめて
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)