をか)” の例文
木立生ひ繁るをかは、岸までりて、靜かな水の中へつづく。薄暗うすぐらい水のなかば緑葉りよくえふを、まつさをなまたのなかば中空なかぞらの雲をゆすぶる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そが奥津城おくつきどころに到りて「おくり火」焚くなりと教へられし一夜をわれは牧島村長の小高きをかの上の家に宿りたりし。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
呼子の市街を纏へるをかの半腹には、愛宕あたご、天満、権現、八幡などの諸殿堂、その他二三の寺院は緑樹のあひだに連り、かしこにあけの欄干はその半勾をほのめかし
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
涙に暮れる枝垂柳しだれやなぎよ、おまへの髮をきあげて、そら御覽よ、あすこを通る人を、あかつきをかに立つ人を
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
川に沿ふて上ることしばらく、両岸の山あひしじまり、渓せまく、煙しづかにして、瀬のおといよ/\たかし、南山の里に入れば緑なるをかの上に皇后の祠を拝するの厳かなるを覚ゆ。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
むかうのをかは入日のはての光を浴びて
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)