おか)” の例文
「兵糧など捨て置いて味方の一隊は、北へ迂回し、黄河に沿って、敵の退路をやくせ、——また一隊は、逃げるが如く、南のおかへ馳けのぼれ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
稜角の端まで這い出して、小さいおか——古代の動物の骨のようにゴロゴロ転がっている石の堆積——の上に立った、石はビッショリと濡れて、草鞋が辷る。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
中国の書物の『秘伝花鏡ひでんかきょう』にある紫羅襴(イチハツ)の文中に「性喜コノム高阜墻頭レバ則易」とあるところをみれば、同国でも高いおかかきの背に生えることがあると見える。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
かぶとよろいも脱いで、悠々とおかのうえにもぐりこんでいた曹操の部下も、すこし気が気ではなくなってきた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前面にはおかのような山が二つ、小隆起をしている、赤沢岳頂上の三角点も、大空を指さしている、谷は次第に高くなる、高くなると共にまって来て、雪のねり方も、波のように烈しいが
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
適当なおかや山地をえらび、そこに見張り所を建て、兵五、六十ずつ昼夜交代に詰めさせておくのである。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、指揮を発し、全軍の豹虎ひょうこが、ふもとへ降りたと見ると、おかの一端から狼煙のろしをあげさせた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、ひとたび、呉のうごきに、何か異変があると見るや、まず第一の監視所のおかから烽火を揚げる——夜ならば曳光弾えいこうだんを揚げる——第二の監視所はそれを知るやまたすぐ同様に打ち揚げる。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は小高いおかの上から心地よげに見ていた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうど、大仏の膝のようなおかだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)