さしお)” の例文
森田にしてあやまらざる限は、里恵は山陽が眼鏡を著けて政記を刪定し、筆をさしおき、眼鏡をば脱せずして逝いたと云ふことを否認してゐたやうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
前に引いた所の嘉永癸丑に向島に遊んだ記もこれに似て、真の終結に至らずして筆をさしおいたものである。次年丙辰に富岡とみがをかに遊んだ記も亦さうである。これに反して小説二篇は完璧である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)