間一髪かんいっぱつ)” の例文
旧字:間一髮
けれども、仁科少佐がそう云うむずかしい、つ危険な仕事に、間一髪かんいっぱつと云う所で成功するには、いつも隠れた助力者があるのです。
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
天然を講究する人一草一木のを知り、人事を観察する人一些事一微物の真面目しんめんぼくり、人間心中間一髪かんいっぱつの動機を観る者は絶無にして僅有きんゆうなり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
袁尚は、間一髪かんいっぱつの危機を辛くものがれて、中山ちゅうざん(河北省保定)方面へ逃げ走った。その時印綬いんじゅ旗幟はたじるしまで捨てて行ったので、曹操の将士からよい物笑いにされた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その掴みそこねたこっちの破綻はたんを透かさず泳がせて置いて、間一髪かんいっぱつに摺り抜けてしまったという早業になるのです——摺り抜けた途端が、すでに走り出したことになる。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「アザラシだ! アザラシだ! アザラシだ!」と、アッカは、耳をもつんざくするどいさけび声をあげながら、はげしくばたきして、空に舞いあがりました。まさに、間一髪かんいっぱつです。
ところが、間一髪かんいっぱつのところで、ガチョウは感づいたのにちがいありません。さっと、わきへとびのきました。キツネどもは、もののみごとに失敗しっぱいです。けれども、まだまだ危険きけんはせまっています。