長椅子ソーファ)” の例文
「おや、此所ここにいらっしゃるの」と云ったが、「一寸ちょいと其所そこいらにわたくしくしが落ちていなくって」と聞いた。櫛は長椅子ソーファの足の所にあった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてグスはもう腰掛けてもいられぬらしく、長椅子ソーファの上にグッタリとノビていたがはげしく眩暈がしてくるという訴えであった。
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
獅子は、それから、酒の載っている卓子テーブルの一方の側にある長椅子ソーファに背を凭れかけてゆったりと構えた。
南洋材のキャビネット。黄緞子きどんす長椅子ソーファ安楽椅子イージイチェア
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これらの廊下には、高価な暗緑色のペルシャ絨毯じゅうたんが敷き詰められて、諸所に長椅子ソーファ棕櫚しゅろや、龍舌蘭等の熱帯樹の植木鉢が飾られてある。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ほとんどしません。天候は荒れておりましたし、その航海は長くかかって海が荒れましたので、私はほとんど岸から離れて岸に著くまで長椅子ソーファに寝ていましたのです。」
女は寄り添うて同じ長椅子ソーファを二人の間にわかつ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでも長椅子ソーファ背後うしろ、装飾戸棚、暖炉横の洋琴ピアノの陰、窓のカーテンの脹み、箪笥の扉、ありとあらゆるところはことごとく調べてみた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
すると彼女はそうっと病人を長椅子ソーファに寝かして、非常に上手にやさしく介抱した。
内庭に面した扉の両脇には、長椅子ソーファが設けられて踊りを待つ間の来客が歓談している。顔見知りの夫人連の目礼に答えたような、そうでなかったような気もする。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
母が弟と隅の長椅子ソーファで話しているところを見たと当主公爵も言っていれば、公爵夫人もまた言っている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
犬は怯え切ったようにただクウンクウンと啼いているばかりで、長椅子ソーファの下から出ては来なかった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
私は到頭自分の書斎の長椅子ソーファの上で、その翌晩とまたその翌晩とを明したが、しかも階下に眠っていたからとて、やはりどこからか悲哀トリステサの啼き声が聞こえてきはせぬかと
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)