鍔鳴つばな)” の例文
だが、その槍の穂がくるより早く、弦之丞は刀のつかをつかんだまま、かかとを蹴って左へ跳び、同時に鍔鳴つばなりさせて一刀を抜き払った。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みなぎりだした殺念はがんにあらわれてものすごい。月光を吸いきった三尺たらず無銘のわざもの、かつ然と鍔鳴つばなりさせて天蓋の影へ斬りかかった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頂天から斬り下げて行くかと見えた巌流の刀は、頭上に鍔鳴つばなりをさせたのみで、武蔵の前へ約九尺ほども寄ったところで、却って、自身から横へぱっと身をらしてしまった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とガタガタと、かんにふるえた小脇の鍔鳴つばなり、手もガッシリと柄を握って睨みつける。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、チャリンという鍔鳴つばなりの音が、かれの瞬間な陶酔とうすいをさました。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)