鋳潰いつぶ)” の例文
この艇内に青春を鋳潰いつぶすと決ったことの悒鬱ゆううつさで、機嫌はよくなかったので、魚戸と喋ることは僕の方からも避けていたといえる。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これは誰でも考えることで、今度の犯人もその一つをえらんだであろうと察せられるが、そのほかの方法はその小判を鋳潰いつぶして地金じがねに変えてしまうことである。
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おおよそ此等の人々は、皆多少今の文壇の創建に先だって、生埋の運命に迫られたものだ。それは丁度雑りものの賤金属せんきんぞくたる鴎外が鋳潰いつぶされたと同じ時であった。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
偉人傑士といえども、御時世が変わると、百代の後にまで遺す気で建てられた銅像も鋳潰いつぶされたりするのである。現に不思議な時代に遭遇して、我々はそれを嫌になるほど見聞したはずである。
黄金の甲冑を盗むことで、それを盗んだ多四郎は、それを鋳潰いつぶして売ったため、にわかに富豪になったこと、その甲冑を取り返すため、窩人達が人の世へ出て行ったこと、こうして多四郎の紋兵衛は
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(おお、あたらわが青春を本艇の中で鋳潰いつぶしてしまうのか。ああ、われはあわれな宇宙囚! 残念な……)
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
下手な細工をすると、国宝鋳潰いつぶしという重罪に問われます。
半七捕物帳:65 夜叉神堂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)