銃眼じゅうがん)” の例文
たて二十間、横十八間、高さ十五間、壁の厚さ一丈五尺、四方に角楼すみやぐらそびえて所々にはノーマン時代の銃眼じゅうがんさえ見える。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
雲に聳ゆる要害堅固な城塞の銃眼じゅうがんから数限りなき銃口がこちらを狙っていることも、自分の率いる無力な一小隊などは木葉微塵こっぱみじんに吹き飛ばされてしまうだろうことも
初めは湖畔こはんに出て侵略者しんりゃくしゃむかった彼等も名だたる北方草原の騎馬兵きばへいに当りかねて、湖上の栖処すみかに退いた。湖岸との間の橋桁はしげたてっして、家々の窓を銃眼じゅうがんに、投石器や弓矢で応戦した。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
銃眼じゅうがんのある角を出ると滅茶苦茶めちゃくちゃに書きつづられた、模様だか文字だか分らない中に、正しきかくで、ちいさく「ジェーン」と書いてある。余は覚えずその前に立留まった。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)