銀延ぎんのべ)” の例文
金六が懐から出して見せたのはその頃では申分のない贅沢ぜいたくとされた、黒羅紗ラシャの懐ろ煙草入、銀延ぎんのべの細い煙管きせるまで添えてあったのです。
「ウム、ここで別れてくれる」と、青筋を立てて歩きかけると、天堂一角、業腹ごうはらでたまらないように、つかんでいた銀延ぎんのべの煙管を、周馬の横顔に叩きつけて
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金六が懷ろから出して見せたのはその頃では申分のない贅澤とされた、黒羅紗くろらしやの懷ろ煙草入、銀延ぎんのべの細い煙管まで添へてあつたのです。
「どうして、こちらでは、これでも至って、手軽な注文をつけたつもりなので……」と銀延ぎんのべ煙管きせるをだし、行燈あんどん灯口ほぐちから、周馬は、すぱりと一服吸いつけながら
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)