しょう)” の例文
(奪い取り合ううち、松明はぱったり地に落ちる。舞台は薄闇。二人はおもわず寄り添う。源右衛門の家よりしょうの音。)
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
遠くからわかるように、しょうや太鼓でたずねるという話は、われわれの子供の頃までよく聞かされたが、交番という便利なものが出来ていたので、実際にはもうなかった。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
風が土砂どしゃをふきとばし、博士の襟元えりもとにざらざらとはいって来た。どこかでしょうの音がするようだ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして左の手に小さなしょうをさげて右の手に持った木づちでそれをたたく。単調な声でゆるやかな拍子で「ナーンモーンデー」と唱えると鉦の音がこれを請けて「カーンコ、カンコ」と響くのである。
田園雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
不意に横丁から笛と太鼓としょうとの騒々そうぞうしい破れかえるような音響が私の耳をたたきました。
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)