鉄枷てつかせ)” の例文
その瞬間、私はもう鉄枷てつかせがつけられていないことに気づいた。しかしどこでいつそれが取りのけられたかを思い出すことはできなかった。
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
私がいかに自分の自我をうるさがってるかをあなたが知ってくだすったら! 私の自我は圧制的で呑噬どんぜい的なのです。それは神が私の首に結びつけた鉄枷てつかせです。
「権利」を主張したあげくに、また一つ鉄枷てつかせをつけられるしまつだ。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
一瓶ひとびんの水と、数粒の豆が浮いてる貧しい一皿のしるとを、寝台のそばに置き、彼の鉄枷てつかせを調べ、鉄格子てつごうしをたたいて検査した。
暗闇くらやみの中に恐ろしい鉄枷てつかせをそなえて待ってる梁の下に、彼らは押しやられた。腕をたれてる鎖と手をひろげてる首輪とは、そのみじめな者らの首筋をつかんだ。
銅貨の中に隠した針くらいの長さのその鋸で、錠前の閂子かんしや、かきがねの軸や、海老錠えびじょうの柄や、窓についてる鉄棒や、足についてる鉄枷てつかせなどを、切らなければならない。