鉄板てついた)” の例文
旧字:鐵板
錆槍さびやりで人が突けぬような事では役にたゝんぞ、仮令たとえ向うに一寸幅すんはゞ鉄板てついたがあろうとも、此方こちらの腕さえたしかならプツリッと突き抜ける訳のものだ、錆ていようが丸刃まるはであろうが
けれどもかんと鉄板てついたにぶつかったようなおとがして、ははねかえってました。藤太とうだ
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
昔物の長持は堅い板の隅々すみずみ鉄板てついたをうちつけた、いやという程巖乗がんじょう代物しろものだし、金具も同様に堅牢けんろうに出来ているのだから、病身の格太郎には、とて打破うちやぶることなど出来そうもなかった。
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
犯行現場の道具類の滑かなおもてには家内の人々の指紋がわずかに残っているばかりだったし、又、僕が最初異状を発見した蔵の錠前の鉄板てついたの表面にも、これこそはと意気込んで鑑識課へ廻されたが
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)