釜場かまば)” の例文
利久の納屋はあたしの家の物置と一ツむねで、二ツに仕切って使っていた。丁度庭裏の井戸のところに窓があって、井戸をはさんでの釜場かまばになっていた。
したがって年に二度か三度、工場の釜場かまばの火を消すとき以外には、決して掃除などはしなかった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
学生風の男に云われて、由蔵はようやくあたふたと釜場かまばへ通う引戸ひきどを押して奥の方へ姿を消した。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
表の間は船頭溜り、※の間は船頭と二番頭の部屋で、艫の間は釜場かまばになっている。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
由蔵の部屋から釜場かまばへと梯子はしごを降りている時、赤羽主任は、奥の居間から、湯屋の女房が茶盆ちゃぼんを持って出て来るのを見た。と、同時に、彼は、ハッタと、忘れていた或事に気がついた。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
室内にまった石灰を掃き出そうとすれば、あけた扉や窓から新たに石灰粉が舞い込んで来る。したがって年に二度か三度、工場の釜場かまばの火を消すとき以外には、決して掃除などはしなかった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)