金梨地きんなしじ)” の例文
金梨地きんなしじを見るような日光が、御縁、お窓のかたちなりに射しこんで、欄間らんま彫刻ほり金具かなぐあおい御紋ごもん、襖の引手に垂れ下がるむらさきの房、ゆら
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
山三郎は此の馬を見まするとい白馬だ、白馬と申しても濁酒にごりざけとは違います、実に十寸ときもある大馬で、これに金梨地きんなしじの蒔絵の鞍を置き、白と浅黄あさぎの段々の手綱たづな
おそらく本郷台ほんごうだいであろう、煙が烈風に吹き払われるのでかがりは立っていないが、研ぎだしの金梨地きんなしじのようなこまかい火の粉が、条をなして駿河台するがだいのほうへなびいていた、おせんは舌が硬ばり
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
現代いまならここで、朝刊でも、金梨地きんなしじか何かのほそ長い新聞入れに入れて、お前におすすめするところだが……二人のお子供小姓が、お手水ちょうずのお道具をささげて、すり足ではいってきた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)