金幣きんぺい)” の例文
しかし、時すでに、堀秀政、小川佐平次らの先鋒隊は、狐塚を突破し、ささえに立つ柴田の将士には目もくれず、彼方へはし金幣きんぺい馬簾ばれん一つを各〻目がけて
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金幣きんぺい馬標うまじるしをとりかえして来た少年水野の如きは、退却に際しても、何の理窟もこねなかったが、諸将のうちには、岐阜帰着後も、こんどの引揚げと、その犠牲に対して
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柴田勝家自身も、左のももに一弾の銃瘡じゅうそうと、肩のあたりに一矢の矢痍やきずをうけていた。そればかりか、中軍に持っていた金幣きんぺい馬標うまじるしまで、敵手に奪われてしまい、主従、ちりぢりになって逃げ走った。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)