野衲やのう)” の例文
「いや。よう仰せられた。……そこまで深く考えておざるものなら、野衲やのうの取越し苦労などは、もう無用無用。お元気で行っておいでなされ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城将の首を見ねば断じて和せず——とされていた筑前どのも、野衲やのうからそれを聞くといたく感じられた態で、さすがは大国の毛利、よい家臣を養いおられる。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それゆえ、一応はお坐りあって、真理に屈し、使者の口上をとくとお聞きなされた上で、追い返すもよし、れるもよし、御思案あったがよかろうと野衲やのうは存ずるのじゃが……
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だれとでも熟談いたそう。野衲やのうのねがう和議に、すこしでも目鼻のつくものならば」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
では、この席に居るなど、野衲やのうこそ慮外でおざれば、あちらへ引き退っておることにします。……が、小六どの、その使者へお返辞を与える前に、ちょっと、わしの部屋までお顔を
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、あなたの嘲蔑ちょうべつとあのけんまくにも屈せず、誠心誠意、相手を説破せんとするあの情熱は正直者です。あの容態ようたいは大器です。必ず後に大きくなるうつわと、野衲やのうは信じて疑いません
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(教えなど、何も持たぬ。野衲やのうに答え得ることなら、何なりと答えよう)
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)