野上のがみ)” の例文
そういう空気のうちに、米友は関ヶ原の駅へ乗込もうとして、その間の野上のがみというのを通りかかったものです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やがて、霊柩車れいきゅうしゃが来る。続いて、一般の会葬者が、ぽつぽつ来はじめた。休所の方を見ると、人影がだいぶんふえて、その中に小宮こみやさんや野上のがみさんの顔が見える。
葬儀記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのあいだに、野上のがみの御陣へ急使をやって、気を揉んでおるお味方をのこらず、さっそく不破の内へ通し、こよいは、ほど近い柏原かしわばらに、野営を命じおかれてはどうか
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或は上総かずさ庁南ちょうなんの草取仁王におうだの、駿河の無量寺むりょうじ早乙女さおとめ弥陀みだだの、秩父の野上のがみの泥足の弥陀だのというのが、そちこちの村にはあったのですが、その中でも一番に人間らしく
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
甲「野上のがみイ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
江口えぐち川尻かわじりの船の家に老い、さては野上のがみ坂本さかもと路次ろじおおがさを立てて、朗かなる歌の声を東西の旅人に送っていた者は、最初からそういう生活様式を持って、日本へ入って来た人々のすえでもあるように
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
野上のがみから不破のあいだ、わずか一里余でしかない。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、関ヶ原を見つつ、野上のがみノ宿までくると
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)