重用ちょうよう)” の例文
源中納言の従者の中に、あまり重用ちょうようされない男かもしれぬが、暗い紛れに庭の中へはいって、それらの行なわれるのを見て来て、歎息たんそくらし
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そして、帝の重用ちょうようはいよいよ厚く、彼の上には栄進が待つばかりで、やがて幾年ともたたないうちに、殿帥府でんすいふ大尉だいい(近衛の大将)とまでなりすましてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにもかかわらず大殿様はじめ若殿様におかれましても、昔通りご重用ちょうようくだされ、家中の者もこの老人をおろそかに扱おうとは致しませぬ。これ皆君家のご恩であること申し上げるまでもござりませぬ。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かくて彼は、東宮付きの一員となりおわせ、日がたつほど、端王の重用ちょうよういよいよ深かった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あまり重用ちょうようはされず、治承、寿永の乱世に、灸をすえたり、克明に日記をつけたりなどして、とにかく、あの風雲を泳ぎぬけたこの一人物なども、書けば、ひとつの主題になる。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)