重囲じゅうい)” の例文
旧字:重圍
醤買石は、生命からがら、怒濤どとうのような敵の重囲じゅういを切りぬけて、ビルマ・ルートへ逃げこむという騒ぎを演じた。
鉄火てっかとはいえ、女の手だけでどうしてあの重囲じゅういを切り抜けて、ここにこうして、今つづみの与吉を、なかば色仕掛いろじかけで柔らかい捕虜とりこにしようとしているのであろう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
知らないうちに重囲じゅういのうちに自分を見出みいだした孤軍こぐんのような心境が、遠くから彼女を襲って来た。彼女は周囲あたりを見廻した。しかしそこには夫を除いてたよりになるものは一人もいなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この空の重囲じゅういにおちいっても、まだ逃げおおせるつもりなのでしょうか。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
当夜若君の孤軍こぐんは、いちどは重囲じゅういにおちいられたが、折もよし、人穴城ひとあなじょうの殿堂から、にわかに猛火を発したので、さすがの呂宋兵衛るそんべえも、間道かんどうから逃げおちて、のこるものは阿鼻叫喚あびきょうかんの落城となった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)