鄙見ひけん)” の例文
その何人なんぴとの手になり、またいずれの辺より出でたる云々の詮索は、無益の論なりとの説もあらんなれども、鄙見ひけんをもってすれば決して然らず。
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私は今日郷土史にいて鄙見ひけんを述べたいと存じます。すなわち琉球の代表的人物が自国の立場に就いて如何いかなる考えをいだいていたかということをお話致そうと存じます。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
それについての鄙見ひけんは他日に譲り差し当り述ぶるは、『淮南子えなんじ』に〈景陽酒に淫し、髪を被りて婦人を御し、諸侯を威服す〉。その他古文に〈婦女を御す〉というが多い。
然るに鄙見ひけんはまったくこれに反し、人間の徳行を公私の二様に区別して、戸外公徳の本源を家内の私徳に求め、またその私徳の発生は夫婦の倫理に原因するを信ずるものなり。
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
別に情交の大切なるものあれば、両性の交際自由自在なるべき道理をべたるに、世上に反対論も少なくして鄙見ひけんの行われたるは、記者の喜ぶ所なれども、右の「婦人論」なり、また「交際論」なり
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)