邸中やしきじゅう)” の例文
立てて、いきなりあたしにすがりついておでなさる。あたしもつい年甲斐としがいもなく、大きな声を出してしまったものですから、それからお邸中やしきじゅうの大騒ぎになったのです
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
邸中やしきじゅうが浜の別荘へ来てじゃに就いて、その先生様も見えられたが、この川添かわぞいの小橋のきわのの、あしの中へ立てさっしゃる事になって、今日はや奥さまがの、この切通しのがけを越えて
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、邸中やしきじゅうの負傷者をながめ
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女中が京子の居間へ中食ちゅうじきを知らせに行くと、そこにいる筈の京子の姿が見えないので、それから騒ぎになって、邸中やしきじゅうを隅から隅まで探し廻ったが、まるで蒸発してしまった様に
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)