邪念じゃねん)” の例文
はらからかまえどりをきめて蛾次郎太夫がじろうだゆう邪念じゃねんをはらって独楽こまを持ちなおし、恬然てんぜんとして四どめの口上こうじょうでのべたてた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
学校の図画、あれは形だけのものじゃ。形だけでは、ほんとうの絵にはならん。ほんとうの絵は心で描くものじゃ。心の邪念じゃねんをはらって絵筆を
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
お藤はたまり兼ねた様子で、薄暗い部屋の中へ、邪念じゃねんのない——が、おろおろした顔を出します。
そこには邪念じゃねんが近づかないでしょう。ですから無心なものの深さに交り得たのであります。この世の美しさは無名な工人たちに負うていることが、如何に大きいでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
邪念じゃねんがなくて、職業意識だけを身につける、八五郎という人間を考えたに過ぎない。
銭形平次打明け話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)