遲々ちゝ)” の例文
新字:遅々
遲々ちゝたる春の日、妙に生暖かさが睡りをさそつて、陽が西に廻ると、義理にも我慢の出來なくなるやうな薄霞うすがすんだ空合でした。
お房が周三のモデルになつて、彼の畫室ぐわしつのモデルだいに立つやうになツてから、もう五週間しうかんばかりになる。しか製作せいさく遲々ちゝとして一かう捗取はかどらぬ。辛面やツとかげとひなたが出來たくらゐのところである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼は車のドアめて、外側の自分の席に坐つた。私たちは出發した。私たちの進行は遲々ちゝたるもので、十分物を考へる暇があつた。旅もやうやく終りに近づいて來たのが、私には嬉しかつた。
平次の調べは遲々ちゝたるうちに、又もう一つ大變な事が起つてしまひました。