病院建築にしても、無論その例外ではない。もつとも技術的ないし人道的な見地から、特例として局所的な遮蔽の行はれる場合もある。
日本人は「陰影」というものに敏感で、直射光よりも間接光、あけひろげた明るさより、遮蔽物によってやわらげられた光りを好んだ。
「では、どうぞ。防空壕は、第二階段をお下りください。窓の遮蔽は、おさわりになりませんように。失礼いたしました」
彼女の眼前に差し出されて、行手の半分程も遮蔽して居るワルトンの顔を、彼女はさもさも邪魔物のように自分の頭を下へ幾分下げて、左手の芝生を覗いた。
まるでいっさいのものから自己を遮蔽しているように見えるが、それにもかかわらず——自分の新しい生活に対しては、きわめて率直自然な態度をとっていた。