遮蔽しゃへい)” の例文
病院建築にしても、無論その例外ではない。もつとも技術的ないし人道的な見地から、特例として局所的な遮蔽しゃへいの行はれる場合もある。
わが心の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
日本人は「陰影」というものに敏感で、直射光よりも間接光、あけひろげた明るさより、遮蔽しゃへい物によってやわらげられた光りを好んだ。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「では、どうぞ。防空壕は、第二階段をお下りください。窓の遮蔽しゃへいは、おさわりになりませんように。失礼いたしました」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼女の眼前に差し出されて、行手の半分程も遮蔽しゃへいして居るワルトンの顔を、彼女はさもさも邪魔物のように自分の頭を下へ幾分下げて、左手の芝生を覗いた。
決闘場 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
まるでいっさいのものから自己を遮蔽しゃへいしているように見えるが、それにもかかわらず——自分の新しい生活に対しては、きわめて率直自然な態度をとっていた。
スタンドの光線を遮蔽しゃへいして、室内のほんの一部分だけを、辛うじて新聞が読める程度に明るくしてあるのだが、その明るい光のけんの端の方に、ライラックが仄白ほのじろにおっている、———その白い影を
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それを世間から遮蔽しゃへいしている障礙しょうがいのような気がしたばかりだった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
かれらの形体をもっといちじるしく変化せしめたものは、実に宇宙線を遮蔽しゃへいして生活したことによる影響である
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
念入りに遮蔽しゃへいしてあるキャプタイヤコードのいまわり方へいちいち目をそそいだ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おそろしくやせぎすで、大きな両眼は、日よけの色眼鏡によって遮蔽しゃへいされてあった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)