遠侍とほざむらひ)” の例文
内には遠侍とほざむらひのあなたより、遙か對屋たいやに沿うて樓上樓下を照せる銀燭の光、錦繍の戸帳とちやう、龍鬢の板疊に輝きて、さしも廣大なる西八條のやかたひかり到らぬくまもなし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
四面四方に築墻ついぢをつき、三方に門を立て、東西南北に池を掘り、島を築き、松杉を植ゑ、島より陸地へ反橋そりはしをかけ、勾欄こうらん擬宝珠ぎぼしを磨き、誠に結構世に越えたり、十二間の遠侍とほざむらひ、九間の渡廊、釣殿
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
きつと御顏を見上げ居たりしが、『久しく御前にとほざかりたれば、餘りの御懷おんなつかししさに病餘の身をも顧みず、先刻遠侍とほざむらひに伺候致せしが、幸にして御拜顏の折を得て、時頼身にとりて恐悦の至りに候』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)