逢著ほうちゃく)” の例文
しかし、綿々として感情を縷述るじゅつする事をせず、その感情を内に蔵して逢著ほうちゃくする人事を写す。読者はその写す所の事を通して、作者の感情をうかがう。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ああわが邦人の美術文学に対する鑑識の極めて狭小薄弱なる一度ひとたび新来の珍奇に逢著ほうちゃくすれば世を挙げて靡然びぜんとしてこれにおもむき、また自己本来の特徴を顧みるの余裕なし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この対話を聞いた時に、私はなんだか非常に恐ろしい事実に逢著ほうちゃくしたような気がした。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
裏門の寺に逢著ほうちゃくよもぎかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)