速舟はやぶね)” の例文
こんな間に、はやくも江上には、かぶら矢の合図にこたえ、緑旗紅旗の速舟はやぶねの影が十二、三ぞう白波を切ってこなたの岸へ近づいていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだ、そんなはなしは、いつか潯陽江じんようこうの白龍びょうでも耳にしたことがある。誰か、速舟はやぶねで朱貴を呼んで来てくれまいか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
港には、大型な帆船一隻と、軽快な速舟はやぶね三ぞうも用意されてあったが、この先も、はたして無事をゆるすかどうか。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船が隠岐の口を離れるまでには、なお幾つかの船関ふなぜきがあり、そのたび速舟はやぶねのへさきから能登の影が
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左岸の深い芦波あしなみのうちから、とつぜん、小旗を立てた三、四隻の速舟はやぶねが、こなたの淀川舟をめがけて漕ぎ進んで来た。——待てっ、と何度となく呼ぶ声もただではない。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、すぐ、おのれ一人、かねて待たせておいた速舟はやぶねのうちに乗るやいな、両舷りょうげん水夫かこ
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「右馬介も行ってごらん。いまね、鎌倉のお使いが速舟はやぶねで浜へ着いたのだって。そして、いよいよみんないくさに出るのだとさ。みんな浜へ駈け出して行ったぞ。爺の刑部まで駈けて行ったぞ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と突然、まわりの速舟はやぶねが、こぞってたけり起っていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)