返答こたえ)” の例文
何か心当りの事でもないか、その以前に邸内で変死した者でもあるかと吟味したが、いずれも顔を見合せるばかりで返答こたえがない。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのかげに何か重大な曰くが潜んでいるに相違ないと、普段からあまり面白く思われていない山城守のことではあり、一同へんに白じらと黙りこくって、誰ひとり返答こたえをする者もなかったのだが
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それは何人なんぴと返答こたえくるしむ所であるが、にかくの物語はお葉と重太郎の最期を一段落として、読者と別離わかれを告げねばならぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
父がかくの如き有様であるとすれば、その子の安否も甚だ心許ないものである。巡査は念の為に市郎の名を呼んだ。が、声は四方の岩に反響するばかりで、底には何の返答こたえもなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)