“辛面(やツと)” の例文
何處か氣脱のした體で由三が眼前(めのまえ)に突ツ立ツても氣が付かなかツた。で聲を掛けると、ソワ/\しな不安な眼光(まなざし)で、只見で置いて、辛面(やツと)にツこりして挨拶をするといふ始末。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お房が周三のモデルになつて、彼の畫室(ぐわしつ)のモデル臺(だい)に立つやうになツてから、もう五週間(しうかん)ばかりになる。面(しか)も製作(せいさく)は遲々(ちゝ)として一向(かう)に捗取(はかど)らぬ。辛面(やツと)影(かげ)とひなたが出來た位(くらゐ)のところである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)