輩出はいしゅつ)” の例文
またこの国が、古来からすぐれた人材を輩出はいしゅつしていながら、まだ一人の天下取りも出していない点をふうした言葉と考えてもさしつかえない。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「新島襄何者ぞ? 彼の如きは群馬県の本領を語るものに非ず。群馬県からはもっと豪い人物が雲霞うんかの如くに輩出はいしゅつしている」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それに一生をささげていない青年、そうした青年が輩出はいしゅつしてこそ、日本の国士がすみずみまで若返り、民族の将来が真にかがやかしい生命の力にあふれるのであります。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
素人しろうとの熱心な飼育家も多く輩出はいしゅつした。育てた美魚を競って品評会や、美魚の番附ばんづけを作ったりした。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
わしがこの大業をはじめれば、世をあげて、史才の学徒が輩出はいしゅつしてくるに決っておる。次に古書典籍の史料は、案ずるに及ばぬ。わしは無限大な蔵書家を知っている。それは日本という持主である。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漢室の衰兆すいちょうおおいがたしと見るや、姦臣かんしん輩出はいしゅつ、内外をみだし、主上はついに、洛陽を捨て、長安をのがれ給い、玉車にちりをこうむること二度、しかもわれら、草莽そうもうの微臣どもは、憂えども力及ばず
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)