すなわ)” の例文
ほかの家畜が利用せられてばかりいるとは反対に、彼等はすなわち人を利用し村里を利用して、村雀または里雀となっているのである。
甚しきは且つ一臂袒ひたんせざれば、すなわち鹿馬の奸にいて、遠く豺狼ひょうろうの地にざんせられ、朝士之がために寒心す。また且つ平民の膏腴こうゆほしいままに貪食するに任す。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
伊原さんはこの照葉の語原は覚束おぼつかないといっているが、いかにもすなわち信じがたいようである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おもえらく、然らずんば以て外夷を拒絶し国威を震耀しんようするに足らずと。その後、あまねく洋書を講究し、専ら礮学ほうがくを修め、事に遇えばすなわち論説する所あり、あるいはこれを声詩に発す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この女は西村与三郎のむすめ作であった。次で箱館から帰った頃からであろう、陸を娶ろうと思い立って、人をつかわして請うこと数度に及んだ。しかし渋江氏ではすなわち動かなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
而して某まさに炎々赫赫、寵をたのみて悔ゆるなく、召対しょうたいまさ闕下けつかに承け、萋斐せいひすなわち君前に進む。委蛇いいわずかに公より退けば、笙歌已に後苑に起る。声色狗馬せいしょくくば、昼夜荒淫、国計民生、念慮に存ずるなし。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)