軍船いくさぶね)” の例文
「やあ、鎮西八郎、豪勢だな。あの弓でもって、伊豆の大島で、軍船いくさぶねを一つひっくり返したんだから豪勢だ」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小手をかざして、御陣原——にはこれあらで、兵庫沖、かすむ霞の晴れ間より、ちらりと見ゆる軍船いくさぶねいさりにかえる海人あまびとか、晦日の金か、三日月か、宵にちらりと見たばかり。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
それは将しく軍船いくさぶねであった。二本の帆柱、船首へさき戦楼やぐら矢狭間が諸所に設けられている。
鵞湖仙人 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云って五隻の軍船いくさぶねが湾から外海へ出ようともしない。現状維持というところだ。
八幡大菩薩の大旗を、足利あしかが時代の八幡船のように各自めいめい船首へさきへ押し立てた十隻の日本の軍船いくさぶねが、太平洋の浪を分けて想像もつかない大胆さで、南米墨西哥メキシコへ向かったのは天保末年夏のことであった。
「異形の軍船いくさぶねが五隻揃って湾を静かにのぼって行きました」と。